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第十三回文学フリマレポ

2011年11月3日(木・祝)に文学フリマに参加した時のレポです。

11月2日

 昼の飛行機で新千歳→羽田移動。なんでこんなダイナミックなことになっているのかというと、私が北海道在住だからである。

 さすがに日帰りで北海道→東京往復だと死ねるので、余裕を持って前泊にしたのである(ただし財政的に余裕は失われる)。宿は浜松町の某ビジネスホテル。とりあえず昨日までの地獄のような作業は終わり、持ってきた小型カートの中にはちゃんと新刊とペーパーとPOPとポスターが入っている。できれば全部宅配搬入で済ませたかったのだが、間に合わなかったんである。

 そういう反省点はさておき、無事新刊は完成したし、作るべきものは全部作った。今夜はゆっくり休むべきだろう。そう思い、まずは空腹を解消するべくホテル外に出たところ、夜の竹芝桟橋はカップルがやたらと多いという事実に打ちのめされたのであった。うん、やけに夜景が綺麗だなあってさっき窓の外見て思ったんだよ……。


11月3日・開場前

 決戦当日。7時間強寝たし、朝ごはんもしっかり食べたし、部屋に小型加湿機があったおかげで風邪もかなり抜けた。うむ万全。ホテルをチェックアウトし、浜松町駅に向かう途中「カートを引いてやってくる若い女性」をぼちぼち目にする。何かと思ったら途中に都立産業貿易センターがあり、そっちで同人イベントがあったのだった(後で調べたらゲーム系が何件か)。

 浜松町駅からのモノレールには「あ、文フリ参加の方かな」と思う感じの人がちらほら。案の定(私も含め)流通センター駅で降りる人が多い。

 サークル用の列の前で、今日のもう一人の主役であり偉大なる協力者、サークル「NEKOPLA」の斎藤さん(→サイト:『ねこプラ』)と合流。

 斎藤さんは、本日早朝に大阪から上京。文フリ終了後に日帰りというハードスケジュールである。

 今回は「隣接配置」というシステムに申し込んだため、「NEKOPLA」「いぬ型干渉体」が隣同士=同じ机なのである。なんでそうなったかというと、前回初参加だった斎藤さんが今回も文フリ参加と聞き、「フリーゲームの本で私も参加しますから、二人とも受かってたら隣接申し込みましょうよ」と私が言い出したことによる。それに今回の斎藤さんの新刊の持つ破壊力を、間近で目撃したいというファン心理もあった。さらに「隣が知った方」というのはイベント参加への緊張感を大幅にやわらげてくれる。あとは……面白そうだから!

 「こちらは文学フリマのサークル参加者用列でーす、『青の祓魔師(エクソシスト)』ではありませーん!ご注意ください!」というスタッフさんの誘導に思わず吹きつつも(この日、同じ流通センターで青エクオンリーが行われていたのだった)無事サークル入場。イベント時の一番の懸念である「宅配搬入がちゃんと着いているか」も、クリア。

 隣接ならではの利点で、一枚の布を同テーブルにばっと広げ、各自己の新刊やペーパーを配置。ゲームコラム同人誌でお世話になっている、霧越なつみさん(→ブログ:マコトナソナタ)も到着。見本誌の提出なども済ませ、こうして無事我々のブースが完成したのであった。

完成!

 ……あらかじめ覚悟していたこととはいえ、カオスにもほどがある完成形である。

サークルPOP

 斎藤さんが昔作ったフリーゲーム『肉ジャンプ』にちなんだ配置番号+サークルの名前POP。『肉ジャンプ』の宇宙ステージをイメージして私が制作したものだが、元ネタがわかったのはたぶんこの日5名様もいらっしゃらないのではないか。誰得。


11月3日・開場

 午前11時と同時に開場! といっても、文フリの場合は開場後にドドドドドドと人が押し寄せるようなことはない。その代わり、完全に人が切れてまったりムード全開ということもない。この傾向は前のお手伝い等で熟知していたのだが、案の定ブースの前を通る方自体が少ない。今回から通路が広くなったので、よりそう感じるのかもしれない。そのうえここは二階である。序盤こうなのはしょうがないだろう。

 すると、当ブース前で立ち止まってくれた男性が! AMファン兼フリーゲームファン兼ゲーム大好きな某氏であった。この日は昼からのトークイベント、「洞窟物語のウラガワ」のほうに行かれると聞いていたのでビックリした。時間的に、イベントの後に文フリは立ち寄れないと思っていたら「先に」いらっしゃるとは、なかなかの奇襲戦法である。はるばる新潟から日帰りで来た(注:本当です)某氏は私と斎藤さんの新刊をそれぞれお買い上げになると、新たな戦場〜トークイベントに向けて去っていった。ありがとうございます。

タイムカン本&タイムカン

 斎藤さんのサークル「NEKOPLA」新刊、『タイムカン読本』

 日清が2000年に発売した「10年間保存可能」な缶入りカップヌードル「タイムカン」を大量購入し、1年に1個ずつ開けてチェックしてみたり、タイムカプセル代わりに土に埋めて10年強経ってから掘り出したり、という「タイムカンと斎藤さんの10年間ちょっと」がくまなく綴られた前代未聞の同人誌。途中の思わぬ大事件やオチも含めて、素晴らしい一冊である。

 せっかくのイベントなので、斎藤さんは「10年間土中に埋まっていたタイムカンの缶(実物)」を展示しておられたのだが……(画像右上参照)

 ビニール袋に入っているのと、錆びた缶の色合いが迷彩のごとく周囲に溶けてしまっており、こんなにすごいものが展示されているのに注目度は残念ながら今ひとつである。こんなにすごいのに!

 斎藤さんいわく、「缶はなるべく綺麗にはしたが、まだ中身に細かいゴミが残っていて袋から出すと問題がある」とのこと。なるほど、実際に袋上部を開けてみると、パラパラした黒っぽいサビのようなものがあちこちに。次回はぜひ、アクリルケースに入れての展示をお願いしたい。と、無茶なことを提案する私であった。だってきっと世界に三つくらいしかない(なんで三つあるのかは『タイムカン読本』参照)「十年間埋まってから掘り出されたタイムカン」ですよ!


11月3日・中盤戦

 なんだかこの辺で猛烈な頭痛・肩こり・吐き気・めまいに襲われる。ヤマザキのランチパックを超速で食べながら「低血糖でも緊張しすぎでもないのにおかしいなあ」と不思議に思ったが、その後一度お手洗いに行ってわかった。酸欠である。どうやら二階の換気が良くなかったらしい。一階はマシだったのだが……。

「お前がフリーゲームを愛さないなら」

 私のほう、サークル「いぬ型干渉体」の新刊、『お前がフリーゲームを愛さないなら』(A5コピー本・32P・300円)

 ポスターやPOPで「フリーゲーム」とでっかく書いたのが功を奏したらしく、通路中央を歩いていた方が「ん!?」という感じでカクッとこちらに方向転換してくださる例が何回もあった。これは嬉しい。売れ行きも予想以上に好調である。

点字巻物展示

 霧越なつみさんの、点字巻物同人誌(参考展示品)。

 手縫いで書かれた、というかちくちく縫われた内容は、「プレアデスカンパニー」(現在は活動休止・ソフトはDL可)のフリーゲーム『時の館』のレビューである。実はこのゲーム、視覚障害者向けに音声読み上げソフトに対応したバージョンもあるのだ。前になつみさんから「点字でゲームレビューを書く時に取りあげるのにふさわしい作品」についてご相談頂いた時、これを思い出して推薦したというご縁がある。

 この巻物は数色の糸で刺繍されていて、点字を知らなくても見ているだけで楽しめるという凝ったものである。可愛さに惹かれて「これ何ですか?」的に女性の来場者が立ち止まってくださる率が高かったと記憶する。これもまだ世界で一冊(一巻?)の品で、制作の手間や点字の精度など色々課題があるとうかがったが、今後のご活動にも期待大である。

 また、なつみさんのサークル「m@mesiba」から昨年発行された、ゲームコラム同人誌『512メガショック!2』も、私がフリーゲーム特集を担当したということもあって今回何冊か持ってきて頂き、当ブースで頒布(うっかり開場直前まで置き忘れていたので、上のブース写真には載ってません……すまぬ)。そちらもトントンと売れ、14時過ぎくらいに完売。

 この合間にも、フリーゲーム繋がりで知り合った方々がブースを訪れてくださった。当日いきなりいらっしゃった方も(午前中の方も含め)3名様ほどおり、嬉しいサプライズだった。少しフリーゲームまわりの話をしたり、差し入れを頂いてしまったり、何かとありがとうございました。

 せっかくなので、見知らぬ方がお買い上げの際、お急ぎでなかったようなので「フリーゲームお好きですか?」と聞いてみる。「昔やってました」とのお答え。去年「m@mesiba」のお手伝いで文フリに参加した時も、「フリーゲーム昔やってました」という方がいらっしゃった。まあ、何年も新作をウォッチして常にやり続けている人……は、かなり少数派の分野だと思う。

 あと、今回の新刊は汚れ防止のためにもれなく透明のパック(蓋なしタイプ)に袋詰めし、もちろん中身も読めるように目立つ場所に見本誌を準備していたのだが、まったくそっちを読まずに袋詰めの本を即キリッと差し出して「これください」な方も何名様かおられた。サークルチェックされて来られた、もしくは見本誌置き場でご覧になったのだろうか。ありがとうございました。


11月3日・イベント終盤

 斎藤さんが『肉ジャンプ新聞』を見ながら「……アレ、これ綴り違いませんか?」とつぶやいた。

 『肉ジャンプ新聞』とは、今回当ブースとチラシ置き場で配布した、NECOPLA+いぬ型干渉体の宣伝用フリーペーパーである。斎藤さんのフリーゲーム活動などを紹介したもので、私が執筆&印刷。斎藤さんに一度印刷前のpdfファイルをチェックして頂き、サイト名やURL表記などを修正したこともあって、特に問題はないと思っていたのだが……。

「これじゃ、読みが『のこプラ』ですよ……!!」沈痛な面持ちで問題の箇所を向ける斎藤さん。

問題ののこプラ部分

 なんということでしょう。末尾にお互いの新刊とサイト紹介を入れていたのだが、「NEKOPLA」と打つべきところが二ヶ所とも「NOKOPLA」になってたんである。のこプラ……のこプラ……斎藤さん、申し訳ありませんでした。あと『肉ジャンプ新聞』を持ってってくださった方も、斎藤さんのサークル名は「NEKOPLA」なのでよろしくね!

 それはそれで、酸欠でだんだん「……これかなりやばいや」状態になってきたので、無事『お前がフリーゲームを愛さないなら』が完売したこともあり、少し早いが斎藤さんにお断りして15時過ぎに撤収準備を始める。

 斎藤さんは16時いっぱいまでおられるとのことで、共同ペーパーである『肉ジャンプ新聞』の残部配布をお願いする。チラシ置き場の分は参加者が回収するルールなので忘れないうちにそっちも取ってきたが、ほぼ予想した分減っていて安心。

 宅配搬出の手続きを終え、小一時間早くはあったが、お隣のサークルの方と斎藤さんにご挨拶して撤収。完売 or 撤収後にブースを訪れてくださった方、どうも申し訳ありませんでした。体調不良も予想外でしたし、完売の早さも予想外。あとこの日東京の気温25度というのも「嘘だろう」と思ってたんですが本当で、これまた予想外でした。


11月3日・イベント後

 文フリに来ておられた方と、「洞窟物語のウラガワ」に行っておられた方(午前中の方とは別)と合流して、羽田空港でお茶飲んで解散。ありがとうございました。

 流通センターという場所のおかげで、空港までは近くてよかった。この恩恵を被った参加者の方は少数派だと思いますが。そして新千歳空港から出たら凍死しそうになった。23時前に帰宅。長い一日でした。


後日談 〜第十三回文学フリマで私が買ったもの

 ここまで、サークル側の視点でしか書いてなかったのだけれど、もちろん「お買い物」もちゃんとしました。開場から30分後くらいに一度頼まれ物&事前のサークルチェックで気になっていたものを買っていたのです。

 普段なら(自分で評論ジャンル申し込むのは初でしたが、お手伝いに行った回とかもあったりなんだりで参加は今回で三度目)見本誌コーナーをチェックしたり、評論系のころは全部回っていたのですが、今回はお昼くらいからのHP消費が激しく、それができなかったのは無念でした……まあ、こんなこともあるよね。

 私用に買った本はこちら。タイトル、サークル名、内容順にざっとメモりました。

後日談2 〜第十三回文学フリマを終えて

 ど、どうもありがとうございました……(ゾンビ化した目で)。

 特に「NEKOPLA」の斎藤さんとは、隣接配置のことも含め、当日のブース写真撮影担当をお願いしたり(このレポ写真も、最後ののこプラ事件以外は当日に斎藤さんが撮影したものをトリミングして使わせてもらってます)、さらに自分の「のこプラ」うっかりミスまで色々と……本当に色々とありましたね。重ねてありがとうございます。

 あとアンケートうっかり搬出用の荷物に入れてしまって出し忘れたので、ここでちょっと。これは自分も気をつけねばならんのですが、文フリはブース内の面積がけっこう多めに取られているのが逆に仇となるのか、「とにかく荷物を後ろにどんどん置いちゃう」サークルさんが時々見受けられました。前回お手伝いで参加した時も、今回も、ブースの外に出るのに「すいません、後ろ失礼しまーす……」と一声かけながら、なおかつ他の方の荷物をまたいでゆかねば出口まで通れない、という事態があってかなり難儀したことは事実です。ブース「前」での隣はみ出しなどについては参加書類の中で注意されるのですが、「後ろ」についても皆さんどうか頼んます……。

 次回はGW最中とのことで、一般でもサークルでも参加は難しそうです。まあ、また何か機会があれば。うちの新刊はこれから通販やイベント委託を考えてますので、「来たけど買えなかったよー」という方は、Twitterの@ezoryアカウントか、blogのいぬ型干渉体(日記)を時々チェックして頂ければ。ではまた!


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