瞬く列なり/あとがき

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#まさかとは思いますが、本編を読了されていない方は、どうぞそちらをお先に。ネタバレの嵐です。
#やたらと長いです。


なぜこの話を書いたのか、ということ

 AMの二次創作小説で、私に一番衝撃を与えたのは『薔薇の騎士』という作品でした。古くからAM攻略を扱っておられるサイト「森の茶屋」さんに掲載されているので、ご存知の方はわりと多いのではと思います。オクタビアンを主人公に据え、ロストメモリーとの出会いからエウテルペ戦争勃発まで、『ミサ』以前の出来事を詳細に描いておられたものでした。オクタビアンの不老の秘密を「テロメア」を使って科学的に説明するなど、SFとしての完成度も高く、終章だけが未だに発表されていないのが残念でたまりません。

 そして歳月は流れ、突然「そうだ、AMの二次創作を書いてみたい」と思ったのです。『薔薇の騎士』の素晴らしさには及ぶべくもありませんが、原作(ゲーム)に記された点と点とを繋ぎ、自分自身の考察を加えたものを小説という形で書いてみたくなったのです。

 そうして一番最初、2008年12月に生まれたのが『永い夜が始まる』でした。『緑の丘の邂逅』はそこからおよそ半年後、2009年6月に書いたものです。この時点では、これ以上AM二次を書こうとか、ましてやサイトを作ってネットに載せようなどということは考えていませんでした。

 ところが、『緑の丘の邂逅』の後に、なぜか急に『ストーリー・オヴ・スペシャリスト』あたりの話も書きたくなってしまったのです。さあ、だんだん自滅フラグが近づいてまいりました……。

なぜ主人公がエリーゼなのか、ということ

 そんな中、「アケローン調査書」をめくっていたら、エリーゼの嫌いなものが「幻視」だと記されておりまして。

 考えてみれば、エリスの列なりの中で「前世の記憶」を語っているのは、エリーゼだけです。エリ・シシは無口だし、エーリに至ってはRS7のラストまで自分の正体に気づいてなかったようですし。きっと、エリーゼは自分の前世、エリスやエリ・シシの悲しい記憶や死の瞬間を「視て」しまう体質で、それが調査書のこの記載に繋がるんじゃないかなあ、という妄想が物語の大きな核となりました。

 エリーゼを主人公にして、彼女が「視た」という形を取れば、例えば『ミサ』のエリ・シシ視点での回想も自然に入れられていいんじゃないか……そんな感じで書き始めた時には、自滅フラグその2が立っていたのです。

自滅フラグって何なのかということ

 最初『瞬く列なり』は、エリ・シシとエリーゼという二人の列なりしか登場しない予定でした。幻視された過去と現在のストーリーが同時に進み、エリ・シシの死とエリーゼの死の間際で終わるはずだったのです。

 が、幻−2になぜかエリスが出てきてしまったあたりから、書いている本人がかつてない停滞期に入ってしまったのです。私は結構一気に文章を書いてしまうほうで、『永い夜が明ける』『緑の丘の邂逅』も構想から完成まで数時間で終わらせたものでした。よって、『瞬く列なり』も、せいぜい一週間とかそこらで書き終えられると思っていたのですが、進まない。

 ここで「自滅フラグ」にようやく気づいたのです。つまり、これってものすごく暗い話なんですよね。エリーゼが殺されるだけでもアレなのに、エリスとエリ・シシの件まで加わればなおさらです。現−2のあたりからペースは落ちるところまで落ち、幻−3で完全に「詰まった」と思いました。正直、ここでもう「なかったこと」にして執筆自体をやめようかな、とも思ってしまったのですが、原稿用紙に換算して既に30枚近くは書いてしまったということもあり、それももったいないなーという泥沼にずぶずぶはまっておりました。

ここで目標が生まれたこと

 懊悩の中で夏は過ぎ、幻−3もまだ書き終われてなかった9月上旬。

 数学屋さんによるAM専門サーチエンジン「AM SEARCH」が開設されたのです。ブログサイトも登録OKとのことで、せっかくだから拙日記「いぬ型干渉体」を登録させて頂こうかな、と思った時、サーチ規約の一文に目が止まりました。

 「二次創作サイトに関しては、AM二次作品が三点以上、展示されていればご登録いただけます」 つまり『瞬く列なり』が完成すれば、今まで書いたAM二次作品がちょうど三点になる=二次創作サイトとしても登録できる……。はてなダイアリーの機能だけでやりくりするのに限界を感じ、外部にサイトを作って統括しようと思っていたこともあり、タイミングもばっちりでした。素敵な偶然をありがとうございます、数学屋さん!

 目標があるとなると現金なもので、幻−3の峠もなんとか越せ、無事この物語を書き終えることができたのでした。最後にエーリが登場してRS7のオープニングで締める、というのも予定にはなかったものですが、ここまで来たら行けるところまで行ってみよう、と書いてしまった次第です。

各章に関する補足

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